バイクやクルマをメンテナンスするには、必要に応じて工具を使い分けないといけないボルトやナットがたくさんあります。
特に昨今の自動車のエンジンルームは、低いボンネットの中に多くの補機類を詰め込むためますます狭くなってきています。
このため整備のしやすさにおいては、旧車に比べて作業性が悪いようです。

例えば目的の部品を脱着するには、周辺の部品をはずしてから作業を強いられる場面も当然あるでしょう。また、たとえ目的の部品やネジが見えていても手が入らないような狭い場所や奥深い場所、真直ぐに工具が当てられないような場所では、スパナやラチェットハンドルの作動する振り幅を得ることができません。

そこでこのようなシーンでも作業の効率アップを図ることができるツールを前回号に引き続き、今回号では少し変わった形状の『ラチェットセット』のシリーズをいくつか紹介します。

 


【カプリングラチェットセット】
従来のソケットやラチェットハンドルというものは、組み合わせて使う工具のため、それぞれにジョイントするための4角形状の差込角というものがあります。しかし本製品のそれぞれのアタッチメントパーツには、
通常の4角形状ではなく18角形状の差込角を採用しております。
このため組み込む位置が、18段階(20度)の範囲で自由に角度を選んでセッティングすることができます。

このようなベーシックな連結パターンの他にクランクパターンという別の使用方法があります。これはカプリングラチェットヘッドとカプリングフレキハンドルの間にカプリングクランクを組み合わせるものです。これによりラチェットヘッドの連結部がフリー状態になり、フレキハンドルを往復運動させることで、ラチェットヘッドを回転させてネジを回すことができるという使い方です。コンロッドとクランクシャフトの関係を思い浮かべるとわかりやすいのではないでしょうか?

さらにアプリケーションパターン(応用)は、カプリングエクスやカプリングバーといった付属のアタッチメントパーツを巧みに組み合わせることによって、長さと角度を微妙に調整し、様々な形状のラチェットハンドルに変化させることができるというものです。このため狭い場所や角度が必要なところでも、十分な能力を発揮する事ができるようになるわけです。

 

【カプリングラチェットセット】
セット内容は、
●カプリングラチェットヘッド(差込角9.5ミリ用)
●カプリングフレキハンドル
●カプリングエクス(60ミリと100ミリ各1個)
●カプリングバー
●カプリングクランク
の6ピースのセット組。
また別売品としてカプリングアダプターがあり、付属のカプリングフレキハンドルに
連結することにより、差込角9.5ミリのソケットが使用できます。

【カプリングソケットハンドルセット】
上記で紹介したカプリングラチェットセットと同じように、通常の4角形状の差込角ではなく、こちらは12角形状の差込角を採用しています。
このため組み込む位置は、12段階(30度)の範囲で自由にセッティングすることができます。またそれぞれのアタッチメントパーツを組み合わせることによって、さらに細かい角度で調整でき大半の外径に使うことができるという優れものです。

また本製品のカプリングソケットヘッドは、ラチェットのヘッド部分とソケットが合体した構造を採用しております。(ギア構造付きソケット)このため従来品にはないコンパクトな全高を実現しました。
ちなみにこの構造のおかげでどれくらい全高が低くなったというと、具体的な数字で比べると1/4インチ(6.35ミリ)差込角のラチェットハンドルにソケット12mmをジョイントすると全高が42.5mmに対
してカプリングソケットヘッド12mmは全高23mmという コンパクトさです。(当社従来品との比較)またラチェットのギア数も40枚、つまり送り角9度のため小気味よく回転し作業性も優れています。

このような大きな特長をもったカプリングソケットハンドルセットは、場面にあわせて各アタッチメントパーツを組み合わせることによって奥深い場所や角度の変化にも対応でき、作業能力を高めることができるセットです。とにかく手の入りにくいドアひんじ部分やタイミングベルトの取り付けボルト、ウォーターポンプの脱着、ラジエター回りの整備など
に活躍の場が期待できます。

 

【カプリングラチェットセット】
セット内容は、
●カプリングソケットヘッド(8、10、12ミリと別売品の14ミリ)
●カプリングフレキハンドル
●カプリングエクス(50ミリと78ミリ各1個)
●カプリングバー
●カプリングアダプター(差込角6.35ミリ用)
という8つのアタッチメントパーツで構成されています。

【ギアソケットレンチセット】
そもそも通常のラチェットハンドルというものは、6.35ミリや9.5ミリといった差込角の区別が存在し、その先端に同じ差込角のソケットを連結して使用するわけですが、今から紹介するギアソケットレンチセットというものは、ソケットを取り付けるのではなく、ラチェット構造のギアヘッド部分ごと取り付けるというアイデアを採用したものです。
これがギア構造付きのソケットです。通常のソケットのような差込角は存在しなく、その代わりにラチェットの回転方向の切り替えのための爪(クラッチ)が見えることでしょう。このギア構造付きソケットを付属のフルターンハンドルにワンタッチで脱着することができるというのがこの商品の最大の特長です。またギアソケットとフルターンハンドルの組み合わせにより従来のラチェットハンドルとソケットを連結させた場合にくらべて非常にコンパクトなヘッドの厚み(全高)を実現させるこ
とができました。ちなみにこの構造を採用したおかげでどれくらいヘッドの厚みが低くなったかというと、具体的な数字でくらべると差込角9.5ミリのラチェットハンドルにソケット13ミリを連結すると51ミリに対し、フルターンハンドルにギアソケット13ミリを連結では25ミリとなんと半分以下という数字になるわけです。(当社スタンダード商品との対比)

次にヘッド部分の脱着(交換)の方法を説明します。装着されているギアソケットは切替えレバー側を親指で押すだけで簡単に取り外すことができます。次に取り付け方ですが、これには挿入方向が決まっています
ので少し注意が必要になります。具体的にはフルターンハンドルの内部に溝が付いている方の側からギアソケットの爪部分を平行に押さえてきっちりと奥まで差し込みます。最初は少しコツがいりますが慣れるとギア
ソケットをすこし回転させながら爪部分を平行にして簡単に挿入することができます。

さらにギアソケットレンチのもうひとつの特長は、付属の2本のフルターンハンドルが、その名前のようにヘッド部分が180度フルターンするというものがあります。通常のフレックスタイプのように、ハンドルの付け根の部分から折れ曲がるのと異なり、力点が回転軸の中心にあるため動きが非常にスムーズです。またヘッド部分を垂直にした場合には、ラチェットドライバーのように早回しにも最適です。また歯数40枚のギアを採用しているので送り角も9度となり小気味よく回転し、本締め作業もできるというメリットもあります。
但し、フルターンハンドル280ミリを使用する場合には、お手持ちの15ミリ以上のソケットの使用は避けた方がよいでしょう。オーバートルクによってラチェットギアヘッドが破損する恐れがあります。

【カプリングラチェットセット】
セット内容は、
●ギアソケット8ミリ、10ミリ、12ミリ、13ミリ、14ミリ
●ラチェットギアヘッド6.35ミリ、9.5ミリ
●フルターンハンドル140ミリ、280ミリ

の3アイテム9種類のパーツで構成されています。

上記のような特長あるギアソケットレンチセットは、狭い場所や奥深い場所での作業効率をアップさせることができ、今までの工具ではできなかったような作業でも簡単に行うことができます。このギアソケットレンチセットを使うと、今までとは違った新しい感覚に遭遇したり、また使い勝手やめずらしさからも回りの仲間や友人にも自慢できるかもしれません。もしそういった新しい感覚に興味や関心がある方にはぜひお勧めしたい逸品です!